九月六日

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暗がりの路地。 独特の生ゴミの匂いと、ドブ臭い匂いが絡み合い醜悪な場所を創り出している。 ドブネズミが好んで徘徊するこの路地で 一人の若者が逃げていた。 「ハッ!!ハアッ!! ……ッグ!!」 山積みになったゴミ山を押しのけて 奥へ、奥へと 「なんで俺がこんな……ッ!!」 愚痴をこぼしながら必至に駆ける。 馴れない道を左右確認しながら 少しでも速く、奥へ、奥へ。 彼がこんな風に醜く走っているのは何故かというと、それは数分前の出来事である。
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