九月六日

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彼はいつものように仕事の先輩方と共に その趣味に付き合っていた。 「オラッ!! こっち来いよ!!」 「イヤッ!!」 一目につかないこの都会から少し横に出た醜悪な路地。 それは廃業していったゾンビのようなビルが建ち並ぶことによって形成された産物である。 いりくんだこの迷路のような構造により 密輸取引や非合法な密売は勿論、 死体の処理などにも使われる。 何故そんな場所に彼らがいるのかというと、彼らの「仕事」こそがまさにそれに当てはまるからである。 先輩と呼ばれる人間は若い女子高生の女の子を捕まえると力まかせにその子を路地裏へ、さらに裏へ。 だんだんと都会への光は遮断される。 「先輩俺も……」 「馬鹿野郎!オマエは先に見張りだろうが!」 一番下の若者が逆らう事は出来ず その若者は路地の外へ。 迷路のような路地の外はまだ少し 都会の明かりが見える。 ったく!なんで俺がこんな役! 男は苛立ちを覚えながらポケットから煙草を取り出す。 ライターを捜しながら辺りをうろつく。
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