九月六日

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そいつはパンを口に放り込み 手首につけたゴムで後ろ髪を束ねる。 男……だよな……。 若者の前に立つ少年もまた若者に負けない奇抜なファッションである。 ドクロを目立たせ、一部の前髪を真っ赤に染めている。 「ングッ!!……まあ、そんな邪険にしないでくれよ」 にんまりとした笑顔で気さくに話しかけてくる。 この場所には全く適していなかった。 「ゾンビ街ってここのことだろ? 道に迷っちまってさ、13番地に行きたいんだけどここどこ?」 ゾンビ街というのは正式名称ではない。 どこからか言われ始めていた物がこの場所にそんな名前をつけた。 目印のほとんどないここにある唯一の 印と言えて言えないもの。 1~66に区切られた番地番号。
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