九月六日

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先輩からの命令に腹を立てていた男は 腹癒せにその少年が先輩の手によって 袋叩きになってしまえ、と そう思った。 思ってしまった。 「さて、あの迷子はどうなったかな」 少年が間違った道に進んだでから五分ほど経った時。 男は頬を緩ませながらその路地を辿っていく。 道はダンダンと広がり少し大きな広場に出た。 そこに三階建ての廃墟があった。 周りは工事中のままに終わったであろう 部品や道具が散らばり 外から中が見えないようにするガードもそのまま 窓のガラスはほとんど割れている。 辺りからはコケが生い茂っていた。 スプレーで書かれた文字は掠れ読みにくい。 まさにゾンビ。 路地を出たすぐ隣、もう一人の見張りである同僚の仲間がパイプ椅子に座って疼くまっていた。 「おう。お疲れ。なんか変な奴来たろ?」 肩を掴んでソイツを起こそうとした。 グラリ、とパイプ椅子がバランスを崩して座っていた同僚もろとも転けた。 「オイ!バカ!なにやって……」 そこで声が止まった。 血。 「は?」 血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血血
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