九月六日

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勢いに任せた声は廊下に響き渡る。 「ヒッ……!」 その人影の正体は見覚えのある姿だった。 「オマエは……」 それはさっき先輩達がナンパして攫って来た女子高生である。 どう見てもその動揺している姿は尋常ではない。 ガクガクと体を震わせている。 それが先輩達のせいなのか、 あるいは あるいは……。 「邪魔だ!どけ!」 女子高生を容赦なく押し倒し先を急ぐ。 息を荒く乱しながら、 そして、その部屋の前に立つ。 すでに部屋から音はしない。 喉の手前で止まっている唾を無理矢理呑み込む。 微かに震えている手をそっと伸ばし その部屋のドアノブを握った。 ゆっくりとそれを自分の方へ引く、 まるでホラー映画のゆうにドアは歪な音を奏でる。
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