九月六日

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一歩下がる。 赤い液体を踏むとピチャリと音が鳴った。 「なんなんだよ!オマエは!?」 男の体から大量の汗が溢れる。 「だから殺し屋だって。名前はトオマ 苗字はまだない」 ふざけているようには見えない。 「俺達が誰だかわかってんのか!? ここらを仕切ってる『鳳凰会』だぞ!!」 その名を口にすれば大抵の若者は大人しく財布を置いて逃げていくだろう。 しかし、 「関係ねぇよ」 「はぁ?」 トオマは下がった男に歩幅を埋めるように その差を縮める。 「俺は殺し屋。ふざけて名乗ってる訳じゃないぜ?これでもその道のプロなんだよ。相手が誰であろうと依頼は確実にこなす。例えそれが怪物であろうと幽霊てあろうと、ヤンキーであろうと鳳凰会であろうとな。このナイフが届くなら空想者だって殺してやるさ」 背中のホルスターから刃渡り20cmほどのナイフを取り出す。
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