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男は一度振り返ると、
「とにかく俺はこの女を天(ウエ)に上げなくちゃならない。だからお前は黙って俺に付いて来るしかない」
終始えばりんぼうなその男は、私に強めの手招きすると、トマト女のお腹の辺りから伸びてる黒い糸のようなモノを手繰り寄せた。
え?
もしかしてコイツ。
トマト女は、ふわふわと浮かぶ風船のように男の周りを浮遊している。
そして彼女は、何の感情もないまま彼に連れられ、天を目指して登り始めた。
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