一章

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 1話 「なぁ、継人(つぐひと)。放課後、マスター登録に行かね?」  高校に入学して二年目の春。  入学当時は緊張して逆に勉強どころではなかったが、流石に一年も高校生活を続けていたら嫌でも慣れる。慣れるとは良い意味ではなく悪い意味の方であり、如月継人(きさらぎつぐひと)は春のぽかぽかとした陽気に当てられ惰眠を貪っていた。 「…………何だよ上臣」  そんな幸せに浸っている最中に後ろから背中を突かれた継人の声は、自然と暗くなる。机のモニタにはでかでかと『自習。各自、二限目終了時にテキストデータを送ること』と表示されている。継人はインターネットで検索をして自習課題を早々に終わらせていたため、やる事と言ったら寝るだけである。しかし、仮にも中学からの親友兼悪友である上臣満(かみおみみつる)を無視し続けるのもどうかと思ったため、仕方なしに振り返る。 「いや、お前さ、未だにマスター登録してないじゃん? だから今日にでも――――痛ッ!?」 「マスター、今は自習中です。私語は慎んで下さい」
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