一章

4/56
前へ
/182ページ
次へ
 検索サイトにて『アンドロイド』と入力すると、モニタには膨大な検索結果の内最もアクセス数の多い十件のサイトが表示される。個人のブログやホームページはもちろん、世界規模のニュースにもその名が出てくる。継人は迷う事なく検索結果の最上位、アンドロイド等の技術を開発した団体のオフィシャルサイトを開き、アンドロイドの説明欄に目を通す。  アンドロイドは世界初の独立思考を持った人型のロボットである。人間と同じように感情を持ち、外見で人間との違いを列挙するのは難しい。強いて挙げるならば、その酷く美しい容姿と生殖機能が皆無な点であろうか。アンドロイドはどれも麗しく艶やかだ。その理由はアンドロイドの特性に由来する。  アンドロイドは確かに作り物だ。しかし、作製するのはマスター本人である。アンドロイドはマスターの嗜好や深層心理を機械が自動的に読み取る事で顕在する。そのため、マスターの理想として生まれたアンドロイドは全て優れた容姿を持って生まれる。  活気的なシステムではあるが、この事により幾つかの問題点が浮上する。  例えば、個人の嗜好等が周囲に晒される事。マスターの理想を形取るアンドロイドに多くの人間が恋愛感情を抱き、それにより家庭を持たない人間が増え、いずれ重大な少子化問題になるであろう事。  他にも大小様々な問題はあるが、それを補う程度には利点も存在する。
/182ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1712人が本棚に入れています
本棚に追加