一章

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(こんなに便利で良いのか…………?)  その便利さに少しの疑問を抱くが、深く考えても仕方がない。  継人は携帯の電源を落とすと、眠りに着くために机に身を預ける。しかし、下手にモニタの画面を見つめる事で眼球に刺激を与えたのがまずかったのか、目が冴えて眠れない。それでも必死になって眠る努力をするが、そんなものは逆効果だ。完全に覚醒する。  そして、継人の善戦を嘲笑うかのようにチャイムが鳴った。その昔から変わる事のないチャイム音は、それだけで義務と言う鎖に縛られていた生徒たちに開放感を与える。  継人はモニタ等の各種機能が実装された昨今の情勢でも、チャイムがなくなる事はないだろうと考える。事実、科学が発達し、法律や人々の常識が変わった現在でも変わらずチャイムは存在する。 「よっしゃあ! 行くぜ継人。今すぐ行くぜ。さあ行くぜ!」  継人はチャイムが鳴ると同時に立ち上がった、何故か異様にテンションが高い上臣に半ば引きづられる形で教室をあとにする。
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