0人が本棚に入れています
本棚に追加
「では食事にしましょうか。お嬢様。」
「そういえば最近、葵と一緒に食事するのが日課になってきたね。」
彩乃は笑顔を見せながら葵と食事を共にする。
「そうですね。今日はどんな夢を見てたのですか?今ではそれを聞くのも楽しみです。」
葵は彩乃の見た夢を楽しく語る姿が好きであった。
「今日はどこかの講堂でライブしている夢だったよ。私以外の女の子と一緒に1つの音楽を創り上げるって言う夢だったよ。」
「お嬢様もそんな活動をしたいという願いが込められてるかもしれませんね。」
葵も微笑みながら彩乃と話し続けた。
「ではお嬢様、食後のお茶を淹れるので少々お待ちください。」
葵はそう言って食べ終えていた食器を下げお湯を沸かし始めた。
「久遠との約束の時間まで後2時間か。お茶を飲んだらもう家出なきゃな。」
彩乃はリビングにある壁時計をみて時刻を確認し部屋に戻り腕時計を取りに行った。
「お嬢様。お茶が入りましたよ。」
「は~い。今いくよ。」
彩乃は腕時計を付けて小走りで葵の待つリビングに向かう。
「ありがとう葵。けれどこのお茶飲んだら出発するね。」
「はい。わかりました。お嬢様、久遠さんによろしくお伝え下さい。」
「わかったよ。」
そう言ってお茶を飲み終えた彩乃はハンドバッグを手にして玄関へ足を運んだ。
「お嬢様気をつけて行ってらっしゃいませ。」
「うん行ってくるね。さっきの鍋の中にシチュー作っておいたから葵が食べちゃっていいよ。葵の感謝の気持ちを込めて作ったから。」
葵は目に涙を浮かべ「ありがとうございます。」と伝えた。
「それじゃあ行くね。」
葵にそう告げて彩乃は久遠の家へと向かった。
最初のコメントを投稿しよう!