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「ちょっ…!」
「なっ…!」
(へ?)
慌てて振り返った時、自分の頭上で同じ様に慌てた若い男の声がした…気がした。
が、今はそんな事を気にしている場合ではない。
「まっ、待ってくださいっ!!私のカバン返してっ!」
男の背中に向かって叫ぶが、男は少し振り返り、駆け出してしまった。
「うわっ!絶対盗ったよあの人!待ってくださいってば!!」
なぜか自分のカバンを盗った相手にも敬語を使うティナも駆け出した。
(あれには大事な今日の食費が入ってるのにッ…!)
それはもう必死である。
…ただ、もうひとつの大事なことを彼女は忘れている。
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