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本当に、突然だった。 あれは確か、慣れないバイトの帰りだった。 どこかからすっと現れ、緑色の瞳をした目を細めて微笑んだその人は、クーと名乗った。 不思議な人だな、と思った。 瞳と同じ緑のサラサラの髪がうらやましいな、とも思った。 そしてクーさんは言った。 ”何か辛いことがあったら、ここに連絡をしてください。” 渡されたのは、数字が並んだ小さな紙。 名刺だ。 だけど、それきり会うことはなかった。 なぜなら私が連絡しなかったからだけど。 ………だって私は、 電話を持っていないから。(節約で。) .
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