*2*

2/36
前へ
/120ページ
次へ
深夜。 「……ティナ・キアラスク、就寝…、と。」 ティナの住むアパートを、木に腰掛け見つめる青年の影がひとつ。 手には携帯電話が握られており、誰かにティナの様子を報告したようだ。 「ったく、クーも人使いが荒いっつーの。こんなん俺を使ったストーカーみたいなもんじゃねーか…。」 ぶつぶつ言いながら、赤いツンツンとした髪が印象的な青年は携帯をしまった。 「…言いたいことがあるなら、てめぇで言えっての。…早くしないと、あの子も母親と同じに…。」 そこまで言って、きゅっと口を結んだ。 そして、妙に輝く月に見守られながら、木の影へと消えた。 「………明日はパン屋かぁ~…」 のんきな少女は、何も知らない。
/120ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加