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深夜。
「……ティナ・キアラスク、就寝…、と。」
ティナの住むアパートを、木に腰掛け見つめる青年の影がひとつ。
手には携帯電話が握られており、誰かにティナの様子を報告したようだ。
「ったく、クーも人使いが荒いっつーの。こんなん俺を使ったストーカーみたいなもんじゃねーか…。」
ぶつぶつ言いながら、赤いツンツンとした髪が印象的な青年は携帯をしまった。
「…言いたいことがあるなら、てめぇで言えっての。…早くしないと、あの子も母親と同じに…。」
そこまで言って、きゅっと口を結んだ。
そして、妙に輝く月に見守られながら、木の影へと消えた。
「………明日はパン屋かぁ~…」
のんきな少女は、何も知らない。
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