現実

9/12
前へ
/73ページ
次へ
「でも気づくと、知らない男が立っていて、その男はどこか、ペットの猫に似てるんだよね」 「似てる?」 さっきまで相づちをうっていた奈都佳が、質問してきた 「…似てるって言っても、なんとなくだし、はっきりはしてないんだけど、猫の毛の色と男の髪の毛の色がすごく似てて…… なんか、初めて会った気がしない…みたいな」 「なるほど…」 奈都佳は、こんなバカげた話を真面目に聞いてくれる 「それで、気がつくと男は消えてて…」 いくら、例え話でも襲われてその後の記憶がないなんて言えねぇ 「それで?」 俺が途中で黙っていると、奈都佳が口を開いた 「………それで、その男誰だと思う?」 しばらく沈黙が続く 「…ぷっ」 「ちょっ、何笑ってんだよ!!」 さっきまで真剣に聞いていた奈都佳が笑い出した 「だって、何を言い出すかと思えば…」 奈都佳は笑いをこらえる 「珍しく、梓が相談してくるから心配してたのになぁ…んで、梓はその男誰だと思うの?」 「……ペットの猫、かなぁ…とか」 「梓がそう思うんなら、そうなんじゃない?」 また笑われると思ったが、案外あっさりしていた 、
/73ページ

最初のコメントを投稿しよう!

88人が本棚に入れています
本棚に追加