ある日の少年

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小学五年生の頃のことだったろうか。 川の底で、恐怖の一時間を過ごしたことがある。 何処に向かっていたのだろう。 その日僕は、自転車をこいで田園の道を走っていた。 猛然たる勢いで走っていた。 妙に心が踊っていたのを覚えている。 吸い込まれるような青空。 新緑が爆ぜる山々。 僕は心地よい春風を切り裂いて疾走していた。 まるで自分が、仮面ライダーになったような気分…… 僕は、悪を倒しにいくヒロイズムに酔いしれていた。 そう、僕はとても空想好きな少年だったのだ。 しかし……悲劇は突然、僕の身に降りかかった。
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