ある日の少年

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視界が360度、回転したのだ。 瞬時、自分の身に何が起きたのか理解できなかった。 ただ、全身に走る激痛にのたうち回り、うめき声を漏らし…… やがて……激痛が次第に柔らいでくるに従い、僕は全てを理解した。 なんということだろう…… 僕は道ぞいを流れる小川に、自転車に乗ったまま突入してしまったらしい。 幸い小川は浅く、僕の足首が浸る程度だった。 しかし川底から道までは、小学生の僕の身長以上の高さがある。 何度か試みてみたのだが、よじ登るのは到底、不可能だった。 この時僕は、初めて気付いたのだ。 自分は仮面ライダーなどではなく、ただの間抜けであるという厳然たる事実に……。
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