崩れ去った日常

15/17

175人が本棚に入れています
本棚に追加
/233ページ
「そう・・・」 女性はそれだけ言うと、カートから2つのボールを取り、リンとレンの手にそれぞれ1つずつ乗せた。 そしてモニターの右にあるボタンを押した。 すると壁だと思っていたところが開き、外の雲が見えた。 「リン、レン。」 驚いてその壁を見ていた2人が女性に呼びかけられ、振り返ろうとした瞬間だった。 後ろから強く背中を押され、2人は宙へと投げ出されたのだった。 「ごめんなさい・・・」 女性のその言葉が、自分達を育ててきてくれた人間の最後の言葉であった。 2人は手にあるボールをしっかりと握り締め、地面へと向かっていった。
/233ページ

最初のコメントを投稿しよう!

175人が本棚に入れています
本棚に追加