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「おれをハメやがったな!」
「何を言ってるんだ?」
「とぼけるなっ!希をかえせっ!」
「おまえが殺したんだ。」
「くっ」
「平木 希の死亡推定時刻は午前1時~2時頃、お前、その時どこにいた?」
「………家で寝ていた」
「そう……つまりアリバイはない」
「うるせぇ!おかしいだろ!こんなの!弁護士、弁護士はいねぇのかっ」
「そんなものはいない…」
「なに…?」
こんなおかしなことがあるだろうか?弁護士もいない
「くそっ…」
おれは必死で涙をこらえながら悟った。おれには抗う術がない。
喋る気力もなくしたおれはただ呆然と刑事が淡々と喋るのを聞いていた。
「よし、今日はこれぐらいにしといてやる。まずこれからの流れを教えてやろう」
どうでもよかった。もう刑事の言葉もおれには届かない
その夜、おれは留置場とゆう狭く暗い檻の中で一晩中泣いた
希のことを思い出してはすすり泣く。
それの繰り返しだった。
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