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「ここの神社、来たの初めて」
自転車をとめて境内を歩く。
「俺はよく来るよ、サボりにだけど」
「あはは、春らしいね」
「まーな」
他愛もない会話をしているうちに時間はあっという間に過ぎていった。
「そろそろ行くか!」
「あ、うん。ちょっと待って、今準備…」
“──…あき”
「?…今なんか呼んだ?」
「いや、呼んでねぇよ」
「……気のせいか」
気を取り直して学校へ行く準備をする。
“───…千昌”
「!」
今、確かにはっきりと聞こえた。
私を呼ぶ誰かの声。
「呼んでる…」
「はっ?」
「誰かが呼んでる…」
導かれるように足が前に進む。
「ちょっ、千昌!?お前そっちはっ…」
進んでいく足が止まらない。
“───…千昌”
「誰…?」
私を呼ぶのは、誰…──?
「千昌っ!!!」
「っ!」
気づいた時には体が宙に浮いていた。
「千昌ー!!!」
「いっ、いやぁぁぁぁあ!!!」
私の身体はそのまま崖の下へと落ちていくのだった──。
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