第三章

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「数えるよー?」 「「はーい」」 鬼は勇くんに決まり、私たちが隠れることになった。 「どこに隠れようかな…」 かくれんぼなんて小学生以来だから少しわくわくしてしまう。 「うーん…」 中庭の方をうろちょろしていると物陰から腕が伸びてきて瞬く間に引き込まれる。 「!!?」 気がつくと沖田さんが目の前にいて、驚きのあまり何度も瞬きをしてしまった。 「早く隠れないと、見つかっちゃうよ」 クスクスと笑って庭の方を確認する沖田さん。 「もーいーかーい」 勇くんの声が聞こえてきて、私があわてて場所を変えようとすると腕を掴まれて止められたてしまった。 「動いたら見つかっちゃうよ、だからここにいよう」 そっと話す声が耳に届く。 「…はい」 薄暗い物陰で沖田さんがこんなにも近くにいるのがなんだか落ち着かない。 「千昌ちゃん」 彼が名前を呼ぶ。 顔を上げると背の高い彼にすっぽりと隠されるように抱きしめられていた。 .
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