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「おっ、沖田さ」
「しー!静かに、勇坊に見つかっちゃう」
さらに力強く抱きしめられて、私の心臓が音をたてて動き出す。
意識しているわけじゃないのに。
顔に熱が集まってくるのが自分でもわかった。
「………」
「よし、行ったみたい」
そっと解放されて、私は恥ずかしさを紛らわすために深呼吸をする。
「千昌ちゃん?」
「はっ、はい?」
返事をした声がおもいきり裏返ってしまった。
「あれ~?」
そんな私を見て沖田さんはニヤニヤと口端を上げる。
「顔赤いけど大丈夫?」
「だ、大丈夫です!」
必死に距離をとるけれど、沖田さんから逃れることができない。
「そお?僕の見間違いかな?」
私を覗き込んだ沖田さんは楽しそうに笑った。
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