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沖田さんは私に笑いかけると、
その茶店に向かって歩いていく。
「秋君」
そう呼ばれて、店の前で客寄びをしていた男の子がこちらへと振り返った。
………うそ。
嘘、だ。
あの人が
ここにいるわけないのに。
「……は…る?」
か細い声が私の口から溢れる。
「えっ?」
沖田さんが不思議そうに私を見つめているけれど、今はそんなの構っていられない。
「春!!」
足が勝手に走り出して、すぐ目の前にいる『春』に向かって駆けていく。
「春っ!!!」
「うぉわっっっ」
おもいきり抱きついたせいで私たちの体は地面へと沈みこんだ。
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