第三章

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「な、何なんだよ!?」 私の下にいる『春』がひどく驚いた状態で声を上げる。 「千昌ちゃんっ、秋君っ」 沖田さんがあわてて私たちの元に駆けてくる。 「あ…き?」 知らない名前を呟いた。 「だから、何だよ!!」 早く退け!と 私の下から声を荒げる。 「千昌ちゃん!」 沖田さんの声と共にふわりと体が浮くのがわかった。 「きゃっ」 わ、私、沖田さんに 抱き上げられてっ 声にならない声で悲鳴を上げる私を、沖田さんはゆっくりと地面に降ろしてくれる。 「や、やっと退いた…」 地面にしゃがみ込んだ『春』がボロボロと言葉を溢した。 「大丈夫?秋君」 「な、何とか…」 ふぅ、と息をついて、秋(あき)と呼ばれたその人は勢い良く立ち上がる。 .
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