第Ⅰ章 この世界と僕

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だけど空から返ってくるのは僕を通り抜け、地に当たっていく雨だけだ… そんな時 落ち込むように下を向いた僕の目の前に入ったものは、 僕がもうこの世界の人間ではないと語っているようなものだった。 僕が着ている茶色のコートに 僕が着ている黒のTシャツを着ていて 僕がはいているジーンズとまったく同じものをはいた青年がそこにいた。 このあたりで僕は死んだんだと自覚した。それは前世の記憶がない僕には大してショックなことではなかった。 だが、僕にとってⅠつ不安なことがある。 これから自分がどうなるかだ。 さすがに幽霊として生きる?のはきつい… 「やっぱ地獄にでも行くのかな」 なぜいきなり地獄という発想が出たかたという理由は簡単だ。 そこに倒れていたのは自分と思われる青年は一人ではなかったからだ。 真っ黒なスーツのような服に身を包んでいる青年が一人倒れている。 そしてその青年は 赤… いや黒に近い赤に全身を染めあげていた。 もう動かないであろうことは5歳児でもわかるであろう姿だった。 このことから僕は天国に行けるとは少しも考えることができなかった。 もう一度空に問おう。 「僕はこれからどうなるの?」
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