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――ココは、何処だろう。 ラズは呆然と空を見上げていた。 雲一つない、澄んだ青空。白い鳥が二羽、追いかけっこをするようにラズの視界を横切っていった。 周囲を見渡せば、どうやらココは森の中のようだった。 何故こんな所に、それも一人でいるのか、首を傾げるしかない。 そもそも、わからないことばかりだ。 気付いたら、知らない街にいた。 見たことのないものばかりなのに、全て知っている気がする街並み。 己の矛盾に混乱するばかりだったその時、不意に景色が変わったのだ。 一瞬で、街は森に変化した。 何をしにココに来たのか。ココは何処か。――自分は、何者か。 わからないのだ。自分のことすら、わからない。 「……どうして街が森になったのかな」 とりあえず、今一番の疑問はこの景色の変化だった。 わからないことを考えていても仕方ない。ならば、少しでも手がかりになりそうなことを考えるしかない。 「一瞬のうちにタイムスリップしたとか……?」 「移動したのは時間じゃなく場所だよ、ラズベリー・ラピスラズリ」 「っ、だれ?」 自分だけだと思っていた空間から、自分ではない誰かの声。 名乗った覚えのないフルネームを呼ばれたことに若干の恐怖を感じながら、ラズは慎重に声の主を探した。
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