10人が本棚に入れています
本棚に追加
どうやら口に合ったみたいで舞はすぐにたいらげてしまった。
料理をする上で一番嬉しいこと『喜んでくれる』ことをされた時のこの幸福感は言葉にできないものがある。
「あの、凉…勉強…教えてくれない?」
「あぁ構わないけど」
そう答えると舞は急いで食器を片付けようとしたが、それを俺は止めて勉強用具を取りにいくように言った。
舞が部屋に向かったとこで俺もパスタを食べきり、食器を片付けることにした。
オレンジの香りのする洗剤を使って食器を拭いていると、階段から舞が降りてきた。
「あ!私も手伝うよ!」
「残念。終了いたしました」
タオルで手を拭いて椅子に座る。
そして舞が持ってきた教材を手にとる。
「英語ねぇ…」
「わ、わかる?」
「あまり好きではないが、教えることも出来ると思うな」
実際自分で勉強を行うのは得意だが、他人に教える経験はあまりないし苦手だ。
過去に論文を父さんの大学で説明したときも上手く出来なかった。
それは同時に俺自身が不完全だと言う証明にもなっている。
最初のコメントを投稿しよう!