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夜景な綺麗なこの国、ヴァーニアで一際その注目を集めるのは中心部にある城だ。
そこは普段から派手かつ豪華な装飾が施されているが、この日はその比にはならなかった。
なんでもこの日は、国王の娘――すなわち、お姫様の十七歳の誕生日なんだとか。
当然、貴族達も集まりそれにつられるように貴族の命を狙う者もやってくる。
そこで呼ばれるのが、命令があればいつでも従う騎士団から呼ばれた騎士だ。
そしてこの日呼ばれた騎士の数は、普通は召集されることはないほど、有り得ない数となった。
その中には、騎士にしては余りに若々しい青年も混ざっている。
「……こんな仕事、早く済ませて帰りてえぜ」
青年はふうっ、と息を吐いて空を見上げる。
この青年、名をハイド・レイブラントという。
眉にかかる程度の長さに伸ばした黒の前髪に、肩につくかどうかの長さの同色の後ろ髪。
眠たげな黒い瞳は外へと向け続けている。
服装は周りの騎士とは違い、支給された鎧ではなく黒のロングコートを身に纏い、アクセサリーとして指輪やネックレスをつけていた。
武器もまた、支給された剣ではない。
まず剣に至っては、ベースが大剣となり形状も他の兵士とは異なる。
更にこの青年は普通、騎士が持ち合わせない銃も持ち合わせている。
ベースにしているのは、形を見るにリボルバー式だ。
銀色の大型だ。
だが元の銃の特徴が分かるのはそれだけで独自の改造を加えているため、原型はあまり留めていないように見える。
更にもう一挺は黒のリボルバー式だ。
銀のリボルバーよりも更に大型で、こちらも改造をしている。
そしてこの青年――もといハイドは、周りに合わせない態度から伺えるように、現在も警護そっちのけで一人テラスにやってきて、飲み物を片手に空を見上げていた。
すると、一人の少女がやってきた。
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