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高校生活へのそんな明るいビジョンに目を輝かせながら、大輔は校門から昇降口に続く通路の両脇に並んだ部や愛好会へ新入生を勧誘しようと立ち並ぶ先輩達の中から、お目当てのロボット愛好会の姿をさがした。
そうこうしていると、後の校門の方から叫び声が聞こえる。
「うぉぁらぁー磯野小路!待ちやがれっ!」
3人の生徒に追われてこちらに向ってくる1人の男。
大輔は巻き添えは御免だと、みんなと同じように道を空けるべく身をかわした。
程なくしてその男が捕まり、後を追っていた3人に取り囲まれた。
「おい磯野小路!今日こそ決着をつけてやるから覚悟しやがれ!」
磯野小路と呼ばれる捕まった男は、もう逃げるのをあきらめるような素振りで手に持った鞄を地面に放りなげ、その両手で乱れたリーゼントを掻き揚げ直すと言った。
「先輩方、何度やっても同じですよ。今日はこれ、この左手一本で相手してあげますよ」
そういって磯野小路と呼ばれた男は、己の左拳を握り締めくるくるとおどけるようにその手を回した。
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