第五章 リョウ 後編

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びっくりして後ろを振り返ると、 そこにはレイの姿があった。 「レイちゃん……。 どうしてここに?」 「心配になって達河先生の様子を見に来たの。 今日は金曜日。 リョウ君が動くとしたら、 この日しかないんじゃないかと思って。」 「そう。」 僕は壁際に近寄った。 窓際では、月明かりで血まみれの姿がレイちゃんに見られてしまうと思ったから。 「でも私の思い通りになるなんて思わなかった。 さすがリョウ君ね。 達河先生を殺せるとしたら、 リョウ君じゃないかって、 私思ってたの。」 「どうして?」 「なんとなくよ。 皆一生懸命やってくれたんだろうけど、 なんか他の皆って本番に弱いっていうか、 詰めが甘いっていうか、 なんか成功する感じがしなかったの。」 レイちゃんは笑みを浮かべながらそう言った。 「レイちゃん。」 「何?」 「約束……、覚えてる?」 「約束って?」 「達河先生を殺したら、 レイちゃんの全部をくれるんだよね?」 リョウはそう言ってレイに近付いた。
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