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「ねぇ。私のこと、好き?」
「え?」
僕達は慌てて後ろを振り返り、
華宮(ハナミヤ)レイの顔を見た。
「私のこと、好きじゃないの?」
レイは真面目な顔で再度きいた。
「好きだよ。もちろん。」
神倉(カミクラ)リョウは唐突すぎるその言葉に戸惑っていたが、
隣にいたトシヤはすぐにそう返事をした。
僕を含め、周りにいた四人もトシヤに続いて、
頷きながら「うん。」とこたえた。
「じゃあ私のお願いをきいて。
私の願いを叶えてくれたら、
私、その人と付き合うわ。
私のこと好きにしていいよ。」
レイのその言葉に、僕達皆固まってしまった。
「本気なの?」
マサヤがそうきくと、
レイは少し下を見ながら、
何も言わずに頷いた。
「私のお願いきいてくれるなら、
明日の土曜日、午後一時に私の家に来て。」
レイは俯きながらそう言うと、
誰とも目を合わさず、
そのまま走って家に帰ってしまった。
高校二年の秋。
僕達は一人の少女を巡り、
普通だった日常を一変させることになった。
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