序章

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 適度な湿度と温度、それに温かな太陽光が身を照らして、コンクリートであるこの床も最高のベッドにさえ思えてくる。  正直、対して好きでもない演説を、長々と聞いて居られるほど気の長くはない自分は、新学期早々にサボタージュ。  こうして自然の恵みを受けて、至福の一時を味わっている。最高だ。 「うだー………………………退屈だ」  一頻りの呼吸の後に来るのは何時もの感想。  退屈だ。  やる気が出ない。やりたいモノが無い。  この手の思いは同年代の少年少女と非常によく共感できるのではないか。否、出来る。  恋愛に現を抜かすほど暇ではない!、等と言える程充実した高校生活を送ってはいないのは残念で仕方がならない。  とは言え、無理に恋愛をしたとしてまともに出切るのかは疑問に思うのだが。 「やる事ねぇんだよな……」  呟こうが聞く人は居ないこの場所で、それでも呟くのは誰かに聞いて貰いたいからだろうか。  しかし、聞いて貰おうにも、その他人がいる場所を嫌がって来たのがこの場所だ。誰かが居る筈もない。  こんな時にはとことん向かない己の性分に溜息を一つ。そして、こんな時こそいつも居ない悪友どもには舌打ちを幾つか。
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