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第一章
ぽてぽてと帰り道を辿りながら、手の中にある小さなメモ用紙を見下ろす。
左横には小さな空きがあり、そこには上から順にチェックが着けられていて、買い忘れが無いかの用心を示している。
軽く朱が射した空は、既に時刻がそれなりな事を仄めかしていた。
既に小高い丘を越えた。家まで余り距離が無いにしても、急がなければ妹から何を言われるかは分らない。
下り坂であるにして、多少の小走りになったのは一応急ぐという意思表示だ。
家は坂を下りきる必要は無く、急げば直ぐに玄関へと入れる。
赤坂、と彫られた表札は、軽い灯火によって浮かんで見えた。
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