0人が本棚に入れています
本棚に追加
訳の判らない感覚。
空気が凍りついた様に冷たい。ギシギシと軋んでいる音がする。
背筋を這い上がる何かが、勝手に体を前へと押し出した。
サドルに手を着きながら、半ば前転するように向こう側へと飛び出す。
膝を自転車に当ててしまうが気にならない。気にする時間がない。
道路の中央部ほどに飛び出せた直後、頭上を何かが通り過ぎた音がする。
ほぼ同時に、自分のやや上にある街灯が潰れる音がして、金属の塊が地面に落ちてくる。
慌てて後退り、目の前に落ちてきたのは自転車だった。
「……ッ!?」
叫び声が出ると思ったが、意外にも喉から出たのは掠れた吐息だけだ。
震える手で後ろへと移動しようとしても力が入らない。
……ダメだ、ココにいちゃ、危な――
「……赤坂、くん?」
最初のコメントを投稿しよう!