ブラッド・イン

1.連続発砲事件

「あんたもなのね……」

　そんなルーフの一言に、首を傾げるリュウセイ。

「ん?　“も”ってどういうことだ?」

　そんなリュウセイの問いかけに、ルーフは一息ついてから答えた。

「はあ、あんた知らないの?…って、朝から成人式だったわね。知らなくて当然だわ。
あのね、ニュースを見ればわかるけど、今日の朝から連続発砲事件が起きてるの。きっとあんたもその犠牲者なのよ」

　そう言って、テーブルの上に置いてあったテレビのリモコンをリュウセイに渡した。それを受け取ったリュウセイは、テレビの前に急ぎ、スイッチを入れる。だがノムの存在をすっかり忘れたリュウセイ。ノムの入る引き出しが、勢いよく開いた。

ガタンッ

　その勢いでノムは飛び出す。

「うわ～!」

　そしてそのままルーフの顔面に張り付くノム。それに驚いたルーフは、ノムを叩き落とした。

「やだ!　何よこれ!」

　一方リュウセイはテレビのチャンネルをニュースに切り替えた。

【速報です。さきほど夕方６時頃、またもや発砲事件が発生しました。
　現場はヴィン・クロードの小さなカラオケ店の辺りです。今のところ被害者は見つかっていませんが、３回立て続けに銃声が鳴り響いた模様です。
　最近、もっとも事件の少ない国として知られるここサン･ライズ･アイランドで、このような事件が多発しています。