1.連続発砲事件

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 現在この事件に巻き込まれたと思われる被害者は、警察署本部の調べによると、29人とみられています。  その中でも死者15名、行方不明者9名、身体に異変を訴える者が5名であることが明らかとなっています。  その5名はいずれも病院に搬送されましたが、その異変は謎に包まれたまま、現在さらに調査中の模様です】  そしてニュースを読み上げたキャスターから1度画面が切り替わり、被害者のうちの、病院に搬送された5名がいる病室が映し出された。そこにはベッドが6つ。  普通の病室と変わらない部屋だが、そこにいる5名の患者に違いはあった。入口から見て、1番左奥のベッドの横には、日本で最も有名とされる妖怪のうちの1体である、“天狗”が立っている。それと向かい側のベッドの上には、130cmくらいの身長で、ふきの葉を持ち、着物のようなものを身につけた生物が静かに立っている。容姿は、北海道の小さな神として知られる“コロボックル”にそっくり。そしてその横のベッドの足を、小さな小熊のような生物がかじっている。この生物の容姿は、悪夢を食べる生物として知られている“獏”にそっくり。その向かい側のベッド上には、日本各地の神社で守護像としておかれている“狛犬”にそっくりな生物が、スヤスヤと眠っている。そしてとなりのベッドには、いたって普通の青年が寝ていた。  1通りの被害者を映し終えると、再びキャスターが映し出される。 【このように、妖怪や伝説の生物などで知られている姿に変わってしまう被害者が、謎を呼んでいます。  次に行方不明者についてですが、9名のうち身元が確認されている5名はいずれも、著名人という捜査結果が出ています。  1人目はピアニストの“ホワイト・フェレイラ”さん。そして2人目は芸術家の“トリポカ・ダ・シウバ”さん。3人目がコメディアンの“ゲーデ・オリヴェイラ”さん。4人目5人目が、科学者兄弟として知られる、兄“イツア・ドス・サントス”さんと、弟“ムナ・ドス・サントス”さんという結果です。  この結果をみると、事件を起こした犯人の目的がなんなのか、ますます分からなくなりますね】  このニュースから現状を理解できたリュウセイは、テレビの電源を切った。するとリュウセイの後ろから、ルーフの驚く声が聞こえる。 「ああ! これノム君じゃない!? ノム君まで!?」
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