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どうやら黒服の男は、血液型のことを言っているようだ。そしてその後も、マスクを着け、咳き込む人を探し始める。それが見つかると、先ほどと同じように蚊に血を吸わせた。
「A型だ! よし、こいつが1人目……っと」
そう言って男は不気味な笑みを浮かべ、胸ポケットから1本の小さな針を指で摘み取った。そしてマスクを着けた男に勢いよく投げると、それはマスクを着けた男の頚動脈に突き刺さったのだ。だがマスクを着けた男は、それに気づくことなく歩き続ける。するとおよそ1分後、マスクを着けた男の“瞳は紫がかり”、黒服の男が来た洞窟へ方向を変え、歩き出した。それを確認した黒服の男は、何か納得したようにうなずく。
「よし、早いとこ、残り5人も集めるか」
その後も黒服の男は、同じ行動を繰り返し、2人、3人、4人、5人と、マスクを着け、咳き込む者だけに針を投げていった。そして目標である6人目を前にする。
「ふう、これで最後か。意外と時間かけちまったな」
そう言って一息吐くと、再び胸ポケットから針を指で摘み取り、ターゲットに向けて投げつけた。だがその瞬間、黒服の男の前を別の男が横切る。もちろん針は、ターゲットの前で横切った男に突き刺さってしまう。
「ち、余計な邪魔しやがって。また戻って針を持ってこないといけねえじゃねえか…」
肩を落とした黒服の男が、洞窟に戻ろうと歩き出した。すると、針が刺さった男も洞窟の方へ歩き出したのだ。
「あれ? こいつA型なのか。しかも免疫力も弱いらしいな。まあいい、手間が省けた」
少しホッとした黒服の男は、針が刺さった男と共に洞窟へ戻った。
そして洞窟に着くと、黒服の男は腕を組んで大きな岩の近くにもたれかかった。すると洞窟の奥からもう1人、黒服を着た男が現れた。
「お疲れ。じゃあさっそく、こいつらの呼び名でも決めておくか」
奥から現れた黒服の男がそう言うと、針を刺された者たちが、横1列に並び、ひざまずく。
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