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またそれと同時に、リュウセイとノムの2人にも針がちくっと刺さる感覚が走ったのである。
すると1分もしないうちに、ゴウの“瞳が紫がかって”いき、何かに呼ばれるかのようにして森深くへと歩いていった。それを見たリュウセイは、目を点にしてゴウを呼び止める。
「おいおい、いきなりどこ行くんだよゴウ!?」
しかしゴウは、聞く耳も持たずにフラフラと歩いていってしまった。そしてリュウセイは、ノムに問いかける。
「変なやつ。どう思うノム?」
そう言ってノムがいた右側を振り向く。しかし、つい先ほどまでいたノムの姿がそこにはない。
「あれ? おい! ノム!? どこだよ!? お前までどこ行った?」
リュウセイは焦りながら辺りを見渡すが、どこにもノムの姿は見当たらない。
「おかしいなあ、先に車にでも乗ったのかな」
そう思ったリュウセイは、ワゴン車に乗ろうと1歩足を踏み出す。すると、その踏み出した足の先から、聞き覚えのある声がした。
「痛っ。なにしてんだボケー!」
それに驚いたリュウセイは、とっさに踏み出した足を上げた。そしてそこを確認すると、まるで小人のような姿の人間が、リュウセイを見上げて立っているではないか。その小人は首を限界まで上げ、少し怒った表情でリュウセイに尋ねてきた。
「お前なにすんだよ!って、あれ?お前巨人化してるぞ!!」
それを聞いたリュウセイは、小人が着ている服の襟をつまみ上げながら、
「いや、お前が小さいんだろ?」
そう言って小人を自分の顔の前に持っていき、目を細めて見た。するとリュウセイは驚き、口や目を大きく開けた表情をする。
「お、お前ノムじゃねえか!どういうことだ!?」
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