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そう、その小人はノムとまったく同じ顔をしていたのである。違うことといえば、赤い尖がり帽をかぶり、木の靴を履いていることくらいだろうか。どうやらノムは、小人になってしまったみたいだ。状況の掴めない2人は、ここで話していても埒(ラチ)が明かないことに気づき、とりあえずではあるが、リュウセイの住むアパートへ向かうことにした。
それからリュウセイは、ノムと一緒にワゴン車へ乗り、アパートに向かって走り出したのである。その道中、リュウセイの肩に座るノムは、自分が映るサイドミラーを見て驚愕した。
「な、なんだよこの姿……嘘だろ……。大体、さっきまで見てた世界と、まるで別の世界だ。俺はいったいどうなるんだ?なぁ、リュウセイ……」
小さなノムの額からは、タラタラと嫌な汗が流れ出す。また、顔全体も青ざめていく。それを横目で見たリュウセイは、一息吐いてから話した。
「さあな。これがなんかの病気だとしても、聞いたことも見たこともないし……無闇に人前に出るわけにもいかないからな」
もっともなリュウセイの言葉に、ノムも落ち着いてきた様子。
「そりゃそうだよな。とりあえずリュウセイ、アパートへ急ごう」
そう言って落ち着いたはずのノムだが、リュウセイの顔が映るバックミラーを見た途端、一気に顔が青ざめ、黙り込んでしまった。その沈黙に気づいたリュウセイは、ノムに問いかける。
「おい、どうした?なに黙ってんだよノム」
その問いかけにノムは、まともに喋れないほど口を震わせた。
「あ……あ、ああ」
そしてノムはそっとバックミラーを指さしたのである。そんなノムの様子に、リュウセイはまた問いかけた。
「なんだ?どうした?またなんかあったのか!?」
それに対してノム。
「バ、バック、ミラ…バックミラーを……」
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