2人が本棚に入れています
本棚に追加
「え? 俺を見ても驚かないぞ…どういうことだ?」
不思議に思ったリュウセイは、再度バックミラーを自分に向けた。だがそこに映っていたのは見慣れた顔のリュウセイ。
「あれ? 戻ってる……」
その状況に、リュウセイはパニックを通り越したよく分からない感情になっていた。それから数秒後、リュウセイは自分の世界に戻ると、文句を言っている男に対して小さく謝った。
「あ、すいません……」
そして再び車を走らせる。2人は約10分の道のりを終え、リュウセイの住むアパートに到着。さっそくリュウセイはノムを両手に包み込み、辺りに人がいないことを確認すると、小走りでアパートへ駆け込んだ。
リュウセイの部屋の中は、棚の中やタンスの中が整理されていて、まるで一人暮らしをしている男の部屋とは思えないほどきっちりしている。そんな部屋の中を、ノムは満面の笑みで駆け回る。
「おぉ、またこの視界からみるお前の部屋は別世界だなぁ!!」
だがそれにリュウセイが一言。
「なぁ、そんな笑ってられる状況じゃないだろ?」
「あ、そうだった。俺のこの、そしてリュウセイのこの身体の異変について調べなきゃな」
「ああ。まあとりあえず、ジュースでも飲んで落ち着こう」
そう言ってリュウセイは椅子に腰掛け、オレンジジュースを1杯のグラスと、1つのペットボトルの蓋に注いだ。
最初のコメントを投稿しよう!