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「オールドア・アンフェル卿は知っているな?」
上司の執務室は、温かな陽光で照らされ、輝いているようだった。
デスクの一角に日だまりを作っているのは、秋の太陽だ。
書棚には高価な(あらゆる書物は総じて高価だが)書物が所狭しと並び、背の低い書棚の上には様々な楯や勲章が並んでいる。
それらも秋の陽光に輝いていた。
ここは、ダーレンの言う神の祝福で満ちている。
そう、サンスロ・ガルホンは思う。
白金色の髪を持つ美しいこの男は、若き異端審査官として上司のガルデロ枢機卿の信頼を一身に受けている。
「はい。芸術に造詣の深い優れた御仁であると」
「そうだ。だが、その芸術が良からぬ方向に転がり出しているという知らせがあった」
ガルデロ卿は意味深な沈黙を置いた。
サンスロが続く言葉を待っていると
「アンフェル卿に人肉食の疑いがかかっている」
束の間の沈黙。
「驚かないのか?」
ガルテロ卿が少々つまらなさそうな声でサンスロにそう問うた。
「芸術に狂った者が人肉食の禁を犯す事はある意味では必然ですから」
ガードレルという学者の受け売りだった。それを知っているガルテロ卿は鼻を鳴らし
「しかし、アンフェル卿は美男子にして道徳心溢れる男として知られているのだぞ?」
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