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  「それに、言ったでしょ? 君なら受かるって」 「そ、そう、ですか……?」 魅せられる横顔から慌てて視線を外し、膝の上に乗せていたバッグをぐっと握り締める。 ゆっくりと速度の落ちる車は、アスファルトを滑る音を止め、信号の赤い光と対向車のライトに満たされた。 「論文の書き方も上手いし、……面接だって、笑顔可愛いから問題ないよ」 「……っ!」 か、かわ……っ…… 先ほどよりも近くに聴こえた声に思わず顔を上げると、ハンドルの上部に両腕を重ねた先生が、目を見開く私をしっかりと見ていた。 「あ、照れた。……そういうところもいいよね、純で」 「……」 くすくすと零される笑いに、今しがた過ぎった微かな胸のざわつきは掻き消され、……柔らかく細められる瞳に、どきどきと違う脈を打ち始める。 だけど、素直に反応する心臓と、冷静な判断をする思考は少し温度差がある。 冗談、なのかな…… いつか大学で聴いた、あの学生の先生に甘えるような声を思い出し、 ……きっと、誰にでも…… という懸念は捨てきれずにいることに気づく。 「……その瞳……」 「えっ」 綺麗な瞳に見据えられたまま外せない視線を硬直させる私に、先生が笑顔を薄める。 「たまに、……そういう瞳するよね、神園さん」 「……瞳、ですか?」 指摘された眼を意識すると、自然に瞬きの回数が増えてしまう。 青の光に気づく先生は、私から視線を外し、車を発進させた。
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