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「卑怯だとは思いますけど……。もう我慢できないんです……」
徐々に受付嬢の顔が近づいてくる。振り払おうとするも、何故か体はうまく動かせない。
「あ、抵抗しても無駄ですよ?先ほどのお酒に少し細工させてもらいましたから」
絶対絶命である。いや、人によっては俺の今の状況が羨ましいのかもしれないが。
「さて……。じゃあ奪っちゃいますね?」
受付嬢と俺の顔との距離はわずか数cm。唇と唇が触れようとした直前──
「主人はここか!」
──ものすごい勢いで扉が蹴破られた。そこにはナルガとフルの二人。おそらく……。いや、間違いなく扉を蹴破ったのはナルガだろう。
と、言うかなぜここに?
「しゅじっ……。これはどういうことだ?」
「あら、えっと……ナルガさんでしたっけ?」
「私のことはどうでもいい。それより何故主人の上に居るのか説明してもらおうか?」
ナルガが本気で怒っているのが分かった。目は紅く染まり尻尾からは無数の棘。これは少々危険かもしれない。
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