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「何故って……。それは私がハンターさんをいただくからに決まってるじゃないですか」
「……あまり私を怒らせるな。貴様のようなぽっと出の輩に大切な主人を奪われてたまるものか」
「あら?では貴女は何故こんな時間まで"大切な主人"を迎えに来なかったんですか?」
「話はハンターさんに聞きましたよ?家を追い出されてからもう何時間も経ってますよ?迎えに来もせず奪われそうになったら拒否する。貴女はなんなんですか?」
(こええよこの人たち……)
俺には何か火花のようなものが見える。でも確かに受付嬢の言う通り誰も迎えに来なくて寂しかったりして……。
「そ、それは奴の話を聞いて……」
「信じられなくなった?簡単に信用できなくなるなんてさぞ思い入れがあるんでしょうね」
「……ご主人」
ヒートアップする二人を無視するかのようにフルがこっそりと俺の方にやって来る。
受付嬢も興奮したのか立ち上がり今ではナルガと睨みあっい口論していた。
「……ガルは?」
「誤解……解けたから……」
と、言うことは怒ってないと解釈して良いんだな。さすがにあの状態のままだといつになっても帰れやしない。
「今さらノコノコやってきて何様ですか?ハンターさんは私がいただきます」
「くっ……。私とて信じたくは無かったさ。貴様に分かるか?大切な人が子連れで帰ってきた悲しみが」
「分かるはずないじゃないですか。私なら温かく迎えた上で話を聞いて双方が納得する答えを出します。」
「……ご主人」
「ん?」
「お腹すいた……」
マイペースなフルに思わず笑ってしまった。こいつは口論している二人を気にもとめず受付口へと俺の手を引いて歩いていく。さっきの残りの匂いを嗅ぎ付けたのだろう。
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