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これが天の助けと言うものか。自分から切り出すまでもなく向こうから持ちかけてきてくれた。
「いいんですか?」
「ええ、大丈夫ですよ。今夜は私しか居ませんし、ギルドに貢献されてるハンターさんなら誰も文句は言えないと思いますよ」
助かった。かなり助かった。これで野宿する必要もない。この広い受付で寝るとなると寝具があっても寒そうだがこの際贅沢も言ってられない。
「ってあれ、一人だけなんですか?」
「ええ、普通の店なら、夜中は戸締りして誰も居なくなるとは思うんですけどここは機密書類等を預かってますからね。日替わりで誰かが泊まりこむことになってるんですよ」
なるほど。確かに誰も居ない時に忍び込まれて機密情報が漏れるのもよろしくない。そういった点では泊まりこみと言う方法も悪くはないだろう。
「まあ、一人だけなんで寝てる時に忍び込まれちゃ意味が無いんですけどね」
受付嬢は笑いながらそう言った。いや、確かにその通りだけど笑い事じゃないですよ?機密情報ですよ?笑いどころではないと思います。
「さて、と……お酒も無くなってきたところだし、私は寝ますがハンターさんはどうしますか?」
いつもならまだ起きている時間だが……。今夜はいつもと違う。するべきことも何も無い。このまま寝てしまおうか。
「俺も今日はもう寝ることにします」
「わかりました。では寝床に案内するんで着いてきてもらえますか?」
歩き出す受付嬢の後を追う。この酒瓶やらは片付けなくても良いのだろうか。
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