第一章 【帰還……そして……】

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 「どうしてこうなった……」  確かに寝具もあり、気持ち良く眠れそうだ。確かにそうなのだが……。  「どうかしましたか……?」  何故に同じ布団なんでしょうか。  さすがにまずいのではないだろうか。俺も男。変な気分にならないと言い切ることはできない。  「やっぱり俺ロビーで寝ます……」  布団は名残惜しいが……。いや、受付嬢と寝るのも名残惜しいわけではあるが、やむを得ない。  布団から出ようとすると後ろからそっと服を掴まれた。  「行っちゃやです……」  消え入りそうな声で呟く受付嬢。いや、しかし倫理的な問題もあるわけで。  「さすがにまずいですって」  そう言いながら受付嬢へ振り返る。そこには泣きそうな顔の受付嬢。こんな顔されたら断れないじゃないですかー!やだー!  「はあ……。わかりましたよ」  布団から出るのをやめ目を閉じる。何も起こらない起こさない俺は寝るんだ。眠るだけだ。
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