第1章

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 すぐ近くに住んでいる大好きな祖父はロシア人だ。    戦争の折、日本人の祖母と出会い恋に落ちて結婚した。      戦争が終わり祖父が一度帰国している間に祖母が亡くなり、祖父は日本に戻ってきてから男手1人で父を育てたらしい。    そんな祖父の趣味はボードゲームだ。    孫の私達に色々教えてくれた。      オセロから始まって、将棋や、囲碁。    そしてチェス・・・。      私はチェスを覚えながらロシア語も教えてもらった。    大好きな祖父の母国語だからだ。      西洋の将棋と言われるだけあって、チェスのルールは子供の私にもそう難しくなかった。    子供らしい柔軟さからか、チェスはすんなりと私の遊びとなったのだ。      チェスが強くなる度に喜ぶ祖父。    祖父を喜ばせたい一心で、いつしか私はチェスのジュニア大会にも出るようになり、国際大会にも出られるまで強くなれた。   
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