10282人が本棚に入れています
本棚に追加
細い路地の曲がり角へと姿を消すソラ。
さっきは、この場面で軽い暴行を受けた…僕は用心しながら角を曲がった。
すると、キャップを被った三人組の男が道を塞いでおり、ソラは足を止めている。
「こいつら、寛人の仲間?」
振り向いた彼女は、敵意をむき出しにして僕を睨む。
「し、知らないよ!」
男の1人が、ポケットからナイフを出し構えた。
なんだこの展開は?
悪い夢なら、早くさめてほしい。
男は問答無用でソラに襲いかかる!
「ソラ、後ろ!」
とっさに出した僕の声に反応し、ソラは前を向き直す。
ソラはその攻撃をかわして、男に金的をくらわせた。
男は、声も出せずに股間を押さえながら地面に踞る。
「寛人、早くそこをどいて!」
余裕の無い表情で、ソラが叫ぶ。
「う、うん!」
逃げようとする僕らだったが、他の男がソラの腕を掴んだ。
ヤバい…こいつらの目的が何なのかは全くわからないけど、いきなりナイフで攻撃してくるくらいだから絶対に危険な連中だ!
ここは、僕が何とかしなければならない…助けを呼ぶ?でも、ここまで来る間に誰ともすれ違わなかった…ソラが人気の無い方へ逃げたからだ。
もし、僕がゲームの中の自分みたいに強くて勇敢だったら、こんな場面でも迷わず戦えるのに!
ソラと目が合う。
さっきまでの強気な彼女は、すでにいない。
怯えた目は、明らかに助けを求めている。
身体の震えは止まらない。
高校時代、僕を陰で苛めていた杉田という同級生を思い出した。
あの時は、毎日が恐ろしくて堪らなかった。
でも、もし学校にこなくなったら…幼なじみの彼女とハメ撮りしている画像をネットに流すと脅された。
もちろん、抵抗はしたが…腕力でも知力でもかなわなかった。
僕は、アイツの言いなりになってアイツと彼女のハメ撮り映像を無理やり見せられ…それを見てオナニーを強制された。
あの時みたいに、無力な僕にはどうにもできないのか!?
剣も無い。
鎧も無い。
魔法も使えない。
僕が彼女を救うなんて無理だ。
でも、何故か…羽交い締めにされたソラが彼女に見えた。
頭の中が熱くなり、言葉にならない叫び声をあげて僕はさっきソラに金的を食らった男が落としたナイフを拾い…ソラを羽交い締めにしている男の腕に突き刺す!
生暖かい返り血が、僕の頬に付着した。
最初のコメントを投稿しよう!