05…悪夢の始まり

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思いもよらぬ菅野からの電話に、日村は少し戸惑ったが…紳士的に返答した。 「えぇ、自分で良ければ…今度、食事にでも行きましょう。改めて、俺から誘いますね」 そう言って電話を切ったが…胸中では邪悪な欲望(?)が渦巻いていた! これは思いがけず、女性からの誘いを受けたな。 もう、長いことオカマバーに通いつめていて女性との交際はほど遠くなっていたが…これはチャンスかも知れん! いやいや、待てよ…仮にも事件にかかわり合いがあるかも知れない相手と親密になるのは考えものだよな。 でも、大して関係ないか! そんな事を考えてニヤニヤしている日村をソラが白い目で見つめる。 「ちょっと、日村…何の電話か知らないけど、こんな時に浮かれてんじゃないわよ!朝になってもレンジが帰ってこない非常事態なんだから!」 「お、おぉ…ソラの話を聞いて思ったんだが、やはりレンジはクラブを1人で調べに行った可能性が高いな。早速、俺たちも行ってみよう。気がかりなのは、ソラが昨夜調べに行ったら絡まれた事だ…偶然かも知れないが、用心した方が良さそうだな」 脱いだ上着を羽織り、部屋を出ようとした瞬間…またもや日村の携帯が鳴った。 「また電話?よく鳴る携帯ね」 ソラの軽い嫌みに苦笑いしながら、日村は電話に出る。 今度の相手は、同僚の烏野だが…様子がおかしい。 「日村、助けてくれ!」 「どうしたんだ、烏野!?落ち着いて話せ」 「これが落ち着いていられるかよ!異常性欲者の攻撃を受けてるんだ!すぐに監察医務院に来てくれ!!」 これはヤバい! 「ソラ、仲間が異常性欲者の攻撃を受けてる!片付けてくるから、ここで待っててくれ!」 日村はソラに事情を説明し、部屋を飛び出した。 車を運転しながら、日村は考える。 何故、異常性欲者は監察医務院を狙ったんだ? 的場が調べている死体に何か重要な手がかりでもあるのか? こんな時、レンジがいてくれれば… 日村も所詮は生身の人間…当然、異常性欲者がいる場所に向かうとなれば恐怖を感じる。 「レンジ無しでも、やるしかない…ビビるなよ、俺!」 恐怖を感じながらも、日村は自身を奮い立たせるような独り言を呟き車を走らせた。
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