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「受付終了が9時だから……近道しないときついな。」
器用に口に加えたパンを食べながら歩みを進める。そして人通りの多いアスファルトの道から森の道に入った。
「ここを突っ切ればって、うぉっ!」
ドン、と木の影から出てきた男にぶつかり、尻餅をついた。
「いてて……あっすいませ……ひっ!」
ぶつかった男は真っ赤な目でココロをじっと見据えていた。
「じゃあ、俺、もう行きますんで。」
何か嫌な予感がして、立ち上がり、去ろうとした。途端腕を捕まれた。
「ハートの兵士……」
男は懐中時計を手に持って呟いた。
「ハート……もしかしてカードバトラー!?」
恐ろしさは吹っ飛んだ。
「私に着いてきてはくれないか。」
淡々と男が言う。
「悪いけど俺は急いで……うわぁ!」
いきなり突き飛ばされた。
「何やってあああああ!」
すぐに地面が来る、と思ったがなかなか着かない。呆然と叫び、重力にしたがって堕ちるだけだった。
「ようこそ、アンダー・グラウンドへ。」
地面にぽっかり空いた穴へと告げた。そして指を鳴らして、穴と共に自身も消えた。
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